「速い音声を聞かせて、何の意味があるんですか」
聞き取れていないのに、意味があるのか。
意味はあります。むしろ、聞き取れるかどうかは、あまり大事な指標ではありません。
音読だけでは超えられない壁
子どもの読む量や速度を上げたい。多くの保護者がまず思いつくのが、音読です。
でも、音読には限界があります。声に出せる速さより速くは、絶対に読めないからです。
速く読めるようになるには、黙読でスピードを上げていく必要があります。
ところが、黙読でも頭の中で一字一句「読み上げて」しまっていると、結局スピードは音読と同じところで止まります。
高速リスニングがやっているのは、ここを飛び越えることです。
1文字1文字を目で追うのではなく、リズムに乗って、音読よりずっと速いスピードで文字情報を追わせる。結果として、頭の中ではすでに「速読」をしている状態がつくられます。
聞く力ではなく、処理の仕方が変わる
速いスピードの音声を聞くと、脳の中の処理のされ方が変わります。
ゆっくり一語ずつ追う直列的な処理から、全体をイメージで一気に捉える、並列的な処理が優位になっていきます。
これは、RAKUTOの速読メソッドが目指している場所と、実は同じです。
速読では、全体像をつかみ、キーワードを拾う「レーダー」のような読み方を先に身につけてもらいます。一字一句を丁寧に「眺める」のではなく、まず構造をつかむ。
高速リスニングは、耳から同じことをやっています。
聞き取れた単語をなぞる練習ではなく、全体を一気に受け取る感覚そのものを、耳から育てているのです。
教室で見てきた変化
一番わかりやすいのは、読書への抵抗感が減ることです。
高速リスニングを続けている子は、自分から本を手に取る量が、はっきり増えていきます。
もうひとつ、保護者にも驚かれるのが、こんな場面です。
散歩中に道端のたんぽぽを見つけた小学2年生の子が、急にこう言い出しました。
「西洋たんぽぽとニホンたんぽぽの違い、見分け方教えてあげるね」
そして、その場で講義が始まったそうです。
本人は、高速リスニングで聞いていたことを、覚えているつもりはありませんでした。
でも、必要な場面が来たときに、ちゃんと出てきました。
これが、高速リスニングの本当の効果です。
聞いた瞬間に一言一句覚えているかどうかは、実はそれほど重要ではありません。
情報が頭の中に「全体としてイメージ」として入っていて、後から必要な場面でつながって出てくる。
これが起きるかどうかが大事なところです。
「聞き取れていないのに意味があるのか」への答え
聞き取った単語を逐一覚えていなくていい、というところに意味があります。
一語一句を意識的に処理しようとすると、結局それは音読と同じ、直列的な処理に戻ってしまいます。
一音も漏らさず聞き取れてはいないように見える状態こそ、脳が全体・並列でイメージ処理をしている証拠です。
たんぽぽの女の子も、聞いた瞬間に「覚えよう」とはしていません。
情報はいったん、意識の外側に置かれます。
そして、散歩中にたんぽぽを見るという「フック」が現れたとき、初めて引き出されてきました。
家庭でできること
高速リスニングそのものは、教室での積み重ねが土台になります。
家庭でできることは、フックを増やしてあげることです。
普段からいろんなものを、好奇心を持って見ているかどうか。
たんぽぽを「ただの雑草」として通り過ぎるか、「あれ、何だろう」と一度立ち止まるか。
その小さな引っかかりの数が多い子ほど、リスニングで蓄えた情報が外に出てくる機会も多くなります。
教えようとしなくて大丈夫です。一緒に「あれ、何だろうね」と立ち止まる。それだけで、フックは増えていきます。